何でもないことでイライラしたり、
誰かの一言に過敏に反応してしまったり。
「わたし、なんでこんなに不安定なんだろう」って思った日は、
たいてい“ちゃんと眠れていなかった日”でした。
睡眠は、
栄養や運動と並ぶ“健康の基本”って、
言葉では知っていたけれど──
実感として、
“眠れなかった日”と“眠れた日”では、
気持ちの輪郭がまるで違うんです。
ちゃんと眠れた朝は、
呼吸が深くて、視界がひらけて、
なぜか「笑顔が自然に出ている自分」がいる。
わたしの心が“わたしのままである”ためには、
回復という名前の“静かな魔法”が必要だった。
この回では、
そんな「眠り」と「情緒」の関係について、
コモチと一緒に、やわらかくたどっていきましょう。
目次
眠りが浅いと、感情も浅くなる
「なんだか今日は、心がざわざわしてる」
「ささいなことで傷ついたり、怒ったりしてしまう」
そんなふうに感じる日は、
ただ“よく眠れていないだけ”なのかもしれません。
睡眠と感情は、
想像以上に深く結びついています。
睡眠の質が悪いと、
脳がうまく“感情の整理”をしてくれなくなる。
だから、
小さなことに過敏になったり、
必要以上に落ち込んだりしてしまうんです。
感情が“浅いところ”で揺れてしまう──
それが、「ちゃんと眠れていない状態」のサイン。
たとえば、
夜中に何度も目が覚めた翌日。
自分でも気づかないうちに、
人に対して余裕が持てなかったり、
自分にきつく当たってしまったり。
それって、本当は心のせいじゃなくて、
眠りがじゅうぶんじゃなかっただけかもしれない。
だからこそ、
心の調子を整えたいときは、
まず「ちゃんと眠る」ことからはじめていい。
回復の入り口は、
薬や思考じゃなく、
静かな深い眠りの中にあるのかもしれません。
「ちゃんと寝る」がこんなにも大切だった
朝、目が覚めたとき。
「今日、だいじょうぶかもしれない」って、
ふっと思える日があるんです。
なんとなく気持ちが軽くて、
呼吸も深くて、
心にゆとりがある。
そういう日は、決まって──
前の晩、ちゃんと眠れていた日。
逆に、
夜更かしした翌朝は、
体だけじゃなく、心の輪郭までぼんやりしていて。
「何をどう始めたらいいかわからない」
「人と会うのがつらい」
「自分が自分じゃないみたい」
そんなふうに感じるのは、
“気持ちが育つ余白”を眠りで失ってしまったからかもしれません。
私たちの感情は、
日中にたくさんの刺激を受けて、
夜の眠りでようやく整理される。
眠ることで、心の奥が静かに片づいていく。
だから、ちゃんと眠れた日は、
「よくやったね」って自分に言える余裕が生まれるんです。
“ちゃんと寝る”って、
あたりまえのようで、
いちばん自分を守る手段なのだと思います。
眠る前に“温度”と“安心”を用意する
「なかなか寝つけない」
「寝てもすぐに目が覚めてしまう」
そんな夜が続いていたとき、
わたしが試してみたのは、
“眠る準備”を、身体から整えていくことでした。
たとえば──
湯たんぽを布団に忍ばせておく。
ぽかぽかとした温度が、
心より先に身体の緊張をほどいてくれる。
布団の厚みや、肌ざわりを見直す。
軽すぎない重みと、やわらかさ。
それだけで、安心感はぐんと増す。
部屋の照明を早めに落とす。
間接照明やキャンドルに切り替えると、
自分の内側に自然と目が向くようになる。
──そうやって、
眠る前の“環境”を整えていくと、
「ああ、ここは大丈夫だ」って、身体が先に理解してくれるんです。
そしてそれは、
思考を休めるための合図にもなる。
身体が安心を受け取ったあとに、
心もふわっと、そのあとを追いかけてくる。
眠ることは、
ただ目を閉じるだけの行為ではなくて、
“安心の積み重ね”の先に訪れる時間なのだと、
わたしは少しずつ感じるようになりました。
コモチの“眠るための一杯”
夜が深くなると、
なんとなく心まで冴えてしまうことってありますよね。
頭はぼんやりしてるのに、
気持ちだけがざわざわして眠れない──
そんなとき、
わたしはひとつの“合図”として、
「眠るための一杯」を用意するようになりました。
おすすめは、
温めた豆乳に、少しだけはちみつを溶かしたもの。
とろっとした口当たりと、
やさしい甘み。
身体の内側がじんわり温まっていく感覚が、
不思議と心の火種までふわっとやわらげてくれるんです。
ほかにも──
・ハーブティー(カモミール/レモンバーム)
・白湯に少しだけ塩を溶かしたもの
・麦茶を人肌に温めて飲む
どれでもかまいません。
大切なのは、“今から休むね”という合図になること。
ほんの数分、
湯気を見つめながら、
その一杯に心を寄せる。
それだけで、
「眠ってもいいんだよ」と、
わたし自身に許しを与える時間になります。
眠ることがむずかしい夜ほど、
この一杯は、そっと支えになってくれる気がするんです。
「眠れるわたし」になるために
眠れない夜って、
どうしても「早く寝なきゃ」って焦ってしまう。
でも実はその“焦り”こそが、
いちばん眠りを遠ざけてしまう原因なんですよね。
わたしも昔は、
「寝なきゃ…寝なきゃ…」って、
布団のなかで時計ばかり見ていました。
でもあるときから、
「眠らせようとしないこと」が大事なんだと気づいたんです。
眠ろうとするのではなくて、
「今夜は、ちゃんと休もう」って思うだけでいい。
呼吸をゆっくりして、
照明を落として、
身体の緊張を少しずつ解いてあげる。
湯たんぽを抱えたり、
毛布に包まれたり、
好きな香りをかすかに漂わせたり──
“眠る”ことより“休む”ことを大切にすると、
いつのまにか、
心も身体もゆるんでいって。
結果として、
すーっと深い眠りに入れていた。
そんな夜のほうが、
朝の目覚めも穏やかで、
わたしの表情までやわらかくなっている気がするんです。
眠れるわたしになるために、
がんばらなくていい。
ただ、“休めるわたし”を、
そっと迎える準備をしてあげるだけでいいんです。
ちゃんと眠った日は、ちゃんと笑える
朝、いつものように目を覚まして──
鏡に映った自分が、
ほんの少しだけやさしい顔をしていた。
そんな日は、決まって「ちゃんと眠れた日」。
とくに何があったわけじゃなくても、
人との会話がすこし楽だったり、
いつもより素直に「ありがとう」が言えたりする。
心に“余白”があると、人は笑えるんだと思います。
その余白をつくるのが、
毎晩の“睡眠”という静かな魔法。
わたしたちはつい、
食事や運動には気をつかっても、
眠りを“なんとなく流してしまう”ことが多いけれど──
眠ることって、本当は、心と身体を「再接続」する時間。
バラバラになっていた呼吸と気持ちが、
ひとつの静けさに溶けていく。
だから、ちゃんと眠った日は、
ちゃんと笑える。
その笑顔は、頑張った証じゃなくて、
“休めた証拠”なんです。
わたしも、あなたも、
笑える日を増やすために──
今夜は、あたたかいお布団と、
やさしい自分に包まれて、
ぐっすり眠れますように。